■セキュリティ&プログラミングキャンプ・キャラバン−札幌−■
- 開催レポート -

平成21年1月17日(土) 10:30〜16:38
札幌市民ホール 第一会議室



主催者: 独立行政法人情報処理推進機構、
財団法人日本情報処理開発協会
共 催: 北海道情報セキュリティ勉強会(せきゅぽろ)、
はこだて情報セキュリティ勉強会(せきゅばこ)
後 援: LOCAL
(ソフトウェア技術公開利用促進運動における地域協議会)


■参加者
59名
社会人:45名、大学生(大学院生を含む):14名

■実施報告
共催および後援団体の懸命のご尽力により、準備および周知期間が短かったにも関わらず、会場の定員を超える事前申込があり、キャラバン始まって以来のことであるが、事前申込を締切った。満員で会場が混乱してしまうのでは、という不安もあったが、結局は当日来場者59名に留まったために、会場はほぼ満員の状況でさしたる混乱もなかった。朝のセッションから50名を超える来場者があり、途中退席される方もほとんどなく、最後のフリーディスカッションでも多くの質問があり、これに答える講師陣の絶妙の受け答えもあって、非常に盛り上がったキャラバンであった。

会場の前日下見は出来たものの、準備は全て当日のぶっつけだったため、どうなるか不安視されたが、共催のせきゅぽろ、せきゅばこの皆様の懸命のご協力により、午前9:00から準備を開始し、プロジェクターやスクリーンのセット、会場案内掲示や受付、配布資料の準備まで順調に完了した。また、初の試みであったインターネット中継も、せきゅぽろの関係者の皆様のご協力により、さしたる混乱もなく準備完了した。

9:50より参加者受付を開始して、定刻10:30よりセキュリティ&プログラミングキャンプ・キャラバン-札幌-開始。

最初に事務局から本日のスケジュールと注意事項の説明を行った後に、本日のインターネット中継の件について説明し、来場者のご了解を得た。


■プログラム
10:35〜11:27 ■プログラミング基礎(インターネットが変えた社会)
(講師:吉岡弘隆)



プログラミング基礎として、アルゴリズム、ソースコードの読み方、デバッグの方法、プログラミングの勉強の方法などを解説したあと、コンピュータが動く仕組みとソフトウェアを作る工程、プログラミングの楽しさとプログラマーという職業の面白さ、オープンソースソフトウェアの開発形態が生まれた歴史的背景の説明、インターネットの誕生が社会に与えた多大なる影響、オープンソースソフトウェアの開発工程、バザールによるソフト開発の面白さと参加することの意義や勉強会などのコミュニティの重要性について詳細に説明し、若い方々にプログラミングの面白さや勉強会に参加することの楽しさ、などを伝えた。質疑応答があり、以下の質問が出た。

・読んでみてこれは面白いと思ったコードはなんですか?
11:37〜12:20 ■プログラミング応用(Cのポインタを使ってみよう)
(講師:宮本久仁男)



プログラミング言語Cを特徴付けている仕様の1つであり、習得するにはちょっと難関と思われているポインタについて、ポインタの何が難しく見えて、どう考えるといいのか?という話について、例を挙げて解説しつつ、セキュリティ上の問題点を作りこみやすい理由についてもあわせて実例を交えて詳細に説明した。質問は無かった。
昼食 休憩
13:10
〜13:42
■セキュリティ&プログラミングキャンプの紹介

セキュリティ&プログラミングキャンプ事業の主旨、実施に至った歴史的な経緯、過去5回のセキュリティ&プログラミングキャンプ(セキュリティキャンプ)の実施成果、今年のキャンプ2008の講義内容などを簡単に説明し、今年のキャンプの模様をビデオで上映した。
13:45
〜14:35
■情報セキュリティ基礎
(講師:園田道夫)




情報セキュリティの基礎として、セキュリティとはどういうことを指すのか、現在のセキュリティ上の様々な問題点、情報漏洩について考える、ネット詐欺対策について考える、などについて、多くの実例とトピックス、デモを交えて説明した。特に、情報漏洩の実態や、自分のPCを守るための対策やフィッシングなどのネット詐欺にかからないためには、など若い方を対象として、現在の情報セキュリティにおいて重要な課題について説明した。
14:44
〜15:24
■情報セキュリティ応用(文字コードとセキュリティ)
(講師:はせがわようすけ)



Webアプリケーションを中心に、文字コードを利用した攻撃手法が多数発見、報告されており、また、文字コードによる混乱は、ソフトウェアの処理上の問題だけでなく、人間に対する視覚的な効果という点においても強く作用し、攻撃者にとっての強力な道具として利用されることがあるという実態を踏まえて、文字エンコーディングに関連するセキュリティ上のトピックスのうち、脆弱性と仕様のボーダーライン上にある問題点を整理し、どのような攻撃手法に対しどのように対策すればよいのかを実例を交えて詳細に説明した。質疑応答があり、以下の質問が出た。

・最近見つけた文字コードに関する脆弱性は何ですか?
15:30
〜16:38
■フリーディスカッション(質疑応答)


参加者からの主な質問は以下のとおり。

・講師の皆さんの現在の立場につくまでのプロセスについて、何に多く時間を費やしたかなどを含めて教えてください。

・今までやってきたことで自分にとって一番大きかったと思うことはなんですか?

・学生時代は何をしていましたか、またしてきたことで現在役に立っていると思われることは何ですか?

・プログラミングをしている時にモチベーションをもっと上げるにはどうしたら良いか?

・最近読んだお勧めの書籍、Webサイトについて教えてください?

・フリーで使える脆弱性調査のツールを教えてください?


などなど。

各質問について、その都度ほぼ全講師が対応し、ご自身の経験談を多く語っていただいた上で、今後の取り組み方などを含めて一言ずつアドバイスを話していただき、非常に盛り上がった中で16:38に終了。最後に今回のキャラバンについてご協力いただいたせきゅぽろ、せきゅばこ、LOCALの関係者の皆様に御礼を申し上げてキャラバン札幌全プログラムを終了した。

終了後も多くの参加者が残り、講師陣に対して多くの質疑応答が行われた。

終了後は直ちに撤収作業を行い、会場の現状復帰まで済ませて、16:55に全ての作業を完了した。


■参加者の反応
今回は、社会人の参加が7割以上を占めていたために、参加者のレベル自体は結構高いものがあったようで、アンケートの意見からは一部技術的なところでは物足りなかったという声もあった。しかし、札幌でもなかなかこういった講師陣が集まるイベントが少ないようで、これをきっかけにしてもっと盛んにこうしたイベントや勉強会を開催してほしいという声や、こういったキャンプがあることは知らなかったが、若者を育てるという意味では非常にユニークな事業であり、ぜひともうちの子供にも参加するように伝えたいと思う、という参加者もおり、参加者からも概ね好評をいただいた。

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